常に乳頭を中心にした走査が良い。乳管の長軸方向の断面を得ることができ、乳管内の小さな病変を同定するのに有効である。プローブの軌跡が重なり、見落としが無いように適切なスピードで走査する。 |
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形状は全体から受けた印象で決める。円形、楕円形、分葉形、多角形、不整形と分ける。くびれ、かどの有無で判断するのも一法である。嚢胞、線維腺腫などの良性腫瘍は円形、楕円形、分葉形を呈するものが多く、乳癌は多角形、不整形を呈するものが多い。 |
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境界が明瞭で平滑。内部は無エコーで、後方エコーが増強。嚢胞は中隔様構造や壁在結節様構造を示すものも珍しくない。必要に応じ、細胞診もしくは経過観察をする。 |
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全周にわたり境界が明瞭で平滑。内部は低エコーで、後方エコーが減弱している。いわゆる濃縮嚢胞である。腫瘍との鑑別を要するものが多い。 |
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全周にわたり境界は明瞭で平滑。エコーレベルが脂肪に比べてやや低い程度で、横に幅広い楕円形である。 |
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Extended F-Viewを用いることで、4〜5cmの大きい腫瘤の全貌を1画面におさめることができる。 |
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辺縁(Margin)とは境界付近の腫瘤部分である。 |
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種々の国で各種の分類がなされているが、アメリカACR(American College of Radiology)のBI-RADS(Breast Imaging)(Reporting and Data System)のカテゴリー判定が有名である。日本医学放射線学会、日本放射線技術学会で考案された、JRADSと称されるカテゴリー分類はBI-RADSに類似しているが、異なる点もある。 |
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線維腺腫に見られる辺縁に沿って流れる規則正しい血流。腫瘤が大きくなると、内部にも血流信号が認められる。 |
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線維腺腫は加齢とともに、内部に硝子化変性や石灰化が生じる。粗大高輝度エコーが特徴的である。 |
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葉状腫瘍の典型の像は、境界明瞭で平滑。内部は多結節状で、裂隙状の嚢胞腔を認める。成長速度が速く、カラードプラで腫瘍内に豊富な血流を認めることが多い。 |
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乳管内乳頭腫は拡張乳管内に充実性エコーとして見られる場合と、このように繊維腺腫と類似した像を呈する場合がある。エコーレベルがやや高めで、乳管(矢印)と連続した像を認める。 |
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本症例は、年齢78歳、診断は乳管内乳頭腫。通常、混合性腫瘍は50歳以上であれば、悪性をまず疑う。鏡面形成は嚢胞内の出血が原因で、体位変換により境界面が移動する。 |
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超音波画像は濃縮嚢胞に類似しているが、壁在性の充実性エコーを認める。本症例は粘液癌だった。 |
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用語診断基準委員会 乳腺疾患診断基準小委員会. 乳腺疾患超音波診断のためのガイドライン〜腫瘤像形成性病変について Jpn J Med Ultrasonics Vol.32 No.6(2005) |
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癌細胞と増殖した線維が交錯するため、腫瘤の内部エコーは深部に行くほど低くなり、後方エコーは減弱する。癌細胞が周辺の脂肪組織に浸潤するため、ハローを伴う。 |
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腫瘤の内部エコーは深部に行くほど低くなり、後方エコーも減弱している。不整なハローを伴い、architectural distortionも顕著である。 |
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癌細胞が腺腔を作らずに、密集して増生しているため、超音波の後方散乱が少なく、内部エコーは低く、後方エコーは増強する。乳腺の深部にある場合、fat islandとの鑑別に注意する。 |
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内部エコーが低く、後方エコーが増強している。薄いがハローがあり、充実腺管癌の特徴を有している。カラードプラで、太い栄養血管(矢印)が確認された。 |
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ハロー(境界部高エコー像)は、癌の境界部に見られる不規則な帯状の高エコー像のことである。竹原らが1973年に乳癌の周辺への浸潤部位で発生すると指摘した。ハローとは、癌と接する周辺組織の境界部で発生する、周辺の組織のエコー輝度よりも高い輝度の帯状のエコー像である。 (竹原靖明、渡嘉敷暁、山下宏治ほか. 乳癌の超音波診断における新知見.日本超音波医学会論文集 23:1-2、1973.) |
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硬癌などでは乳腺組織やCooper靭帯などが腫瘤に向かって牽引される。構築の乱れである。微小腫瘤または放射状瘢痕など、はっきりとした腫瘤を作らないとき、中心に低エコー域の無い集中像が存在することもある。 |
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硬癌である。乳腺の前方境界線が癌の浸潤によって断裂している(矢印)。腫瘤の境界部にハローを認める。 |
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腫瘤の乳頭側の端と乳頭の中央との最短距離を測る。触診して計測する時には、圧迫を与えるため、実際にはこの距離とほぼ一致する。 |
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内部エコーレベルが高く、後方エコーは増強している。境界部にハローを有し、典型的な粘液癌のエコー像である。ただし、粘液変性の強い線維腺腫も似た像を呈することがある。 |
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著しいリンパ球浸潤を伴い、比較的均一な癌細胞で構成され、echogenecityが低く、内部エコーレベルは極めて低い。後方エコーは増強。ハローを有し、典型的な髄様癌のエコー像である。 |
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小葉癌は、浸潤性乳管癌の3亜型と類似した3つの型と、境界不明瞭な高エコー領域の中心部に低エコー域を認めるものがある。後方エコーの減弱が著しいのが特徴である。 |
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比較的広い腺腔を有する癌であるため、エコーレベルは癌にしては高めで、後方エコーは不変である。線維腺腫や乳腺症に伴う腫瘤形成と鑑別が難しいことがある。 |
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企画・制作:超音波検査法フォーラム 協賛:富士フイルムメディカル株式会社 |