「超音波検査法セミナー」は富士フイルムヘルスケア株式会社が「超音波検査法フォーラム」に依頼し、
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第8章:腎臓の超音波像あれこれ

健診の腹部超音波検査で発見される悪性腫瘍で最も頻度が高いのは、腎細胞癌であることはご存じでしょうか。もちろん健診に限らず腎細胞癌は、他の目的の検査で偶然発見される機会の多い悪性腫瘍です。そしてこのように血尿や背部痛などの症状がなく発見される腎細胞癌の多くは予後がよい傾向がありますので、スクリーニングでぜひ発見して欲しい腫瘍です。しかし一方で、腎臓は肋骨や大腸ガスに阻まれて、その全貌を映すことが意外に難しい臓器です。腎臓の病変を見落とさないためには、複数のアプローチを使った走査や、腎辺縁付近をしっかりと確認する観察を平素のスクリーニングであっても心がける必要があります。

本章では、腎細胞癌およびそのたの腎腫瘍、そして尿路閉塞の所見についてあれこれを見てゆきましょう。