Chapter-2 耳鼻科領域の頸部良性腫瘤
Chapter-2 耳鼻科領域の頸部良性腫瘤
 
正中頸嚢胞@  

正中頸嚢胞@


頸部正中に、境界明瞭で均一な内部低エコーの嚢胞を認める。探触子の圧迫で内部の微細な高エコーが浮遊する所見が得られる。

  • 微細高エコーの浮遊
 
多形腺腫@  

正中頸嚢胞は、舌骨と甲状軟骨の間に位置することが多い。本例では深部において上方は舌骨、下方は甲状軟骨に接している。

  • 甲状軟骨
  • 舌骨
 
正中頸嚢胞A  

正中頸嚢胞A


正中からやや右に位置する境界明瞭で均一な内部低エコーの嚢胞を認める。大きな正中頸嚢胞では一部が偏位することがある。

 
正中頸嚢胞A  

縦断像で嚢胞が舌骨の下へ入り込んでいく像を認める。本例は内部エコーを有し、典型的な嚢胞パターンではない。

  • 舌骨
 
側頸嚢胞  

側頸嚢胞


胸鎖乳突筋の前縁の上方の嚢胞パターンの腫瘤を認める。側頸嚢胞は腫瘤の深部で頸動脈、内頸静脈と接していることが多い。

  • 頸動脈
  • 内頸静脈
 
側頸嚢胞  

嚢胞の内部エコーは、無エコーないし点状高エコーを示す。圧迫すると嚢胞は変形し内部の点状高エコーが浮遊する像が認められる。

 
脂肪腫  

脂肪腫


左上頸部の位置した脂肪腫。柔らかく圧迫によって容易に変形する。形状は不整で境界は不明瞭であることもある。内部エコーに索状の反射が目立つ。

 
脂肪腫  

表面の境界は明瞭だが一部深部の境界が不明瞭である。本例は、触診上頸部の柔らかい膨張を認めただけで症状はなかった。

 
血管腫  

血管腫


右上頸部に位置する血管腫。深部では内頸静脈と近接する。きわめて柔らかく圧迫により容易に形を変える。内部エコーは低く不均一。

  • 内頸静脈
 
血管腫  

本例では患者に息をこらえてもらうと、血管腫の低エコー部分が増大し全体のサイズの増大も見られた。

  • 低エコー部分
 
神経鞘腫  

神経鞘腫


右頸部に位置した巨大な腫瘤。境界は明瞭で可動性は良好である。やや低エコーで均一な腫瘤の中に嚢胞様部分を認める。

  • 嚢胞様部分
 
神経鞘腫  

この症例は交感神経由来の腫瘍であった。頸部にある充実性腫瘤では神経原性腫瘤も念頭に検査する。

 
頸動脈小体腫瘍  

頸動脈小体腫瘍


右上頸部に見られた類円形の充実性腫瘤。内部は低エコーで不均一、境界は一部不明瞭である。本例では頸動脈の角度の開大が見られた。

  • 内頸動脈
  • 外頸動脈
 
頸動脈小体腫瘍  

頸動脈小体腫瘍は頸動脈分岐部付近に発生するまれは腫瘍である。カラードプラでは腫瘤全体に極めて豊富な血流が認められる。

 

企画・制作:超音波検査法フォーラム
協賛:富士フイルムヘルスケア株式会社